617.麻布中学(2013.4.29掲載)
今年の麻布中学の理科の入試問題で、ドラえもんに関する難問が出て話題になった。 「右図は、99年後に誕生する予定のネコ型ロボット『ドラえもん』です。この『ドラえもん』がすぐれた技術で作られていても、生物として認められることはありません。それはなぜですか。理由を答えなさい」 ちゃんとした理科の問題だからとんちではなく、生物の定義である「外界との境界、自己複製、代謝」の有無を問われている。一見難問だが問題文の中にこの定義が紹介されており、それを引用して「自身が成長したり、子をつくったりするという特徴がないから」と書けばいいのだ。 それより驚いたのは、飲料の加工方法や容器に関する設問があったこと。炭酸飲料のペットボトルの形状が茶飲料と違う理由や、缶コーヒーのスチール缶に使われているアルミ部分を答える問題は業界人でも骨が折れる。そして極めつけはこれ。 「ミルクや砂糖を加えてあるコーヒーは、冷やして売られるものでも缶に入れる前に加熱しています。缶に入れる前に加熱するのはなぜですか。理由を答えなさい」 ある塾の模範解答は、「飲料を殺菌したり、空気(酸素)を追い出すため」となっていた。殺菌はわかるとして、脱気はかなりハイレベルだぞ。加熱により気泡や溶存酸素が取り除かれ、酸化劣化を防ぐ。さらに加熱膨張した飲料を容器いっぱいに充填すると、冷却後に液量が減少してできる空間は真空に近くなり衛生的。この「ホットパック」と呼ばれる加工技術を小学6年生に問うのか。 これだけの地頭と応用力を備えた選良が集う学園生活など、田舎の公立中学出身の小生には想像もつかないが、修学旅行の行き先をプレゼンで決める話を卒業生から聞いて、さらに気が遠くなった。 予算、コース、日程、コンセプトなど全ての内容を生徒が決め、資料を作成して学校側にプレゼン。これが通れば好きなメンバーで好きな場所に行けるというのだ(現在は少し様子が違うらしいが)。 あぁ、こんな教育を受けた奴らとビジネスの場で闘って、はたして勝ち目はあるのか。 冒頭のドラえもん問題に、「ロボットだから」と答えようとした自身をものすごく反省する次第である。
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