631.アトムの世界(2013.8.05掲載)
先日、新聞で「スマホのアプリに不具合」という小さな記事を見つけ、「昭和の人がこの見出しを読んだらどう思うだろう」と想像してしまった。 昭和人じゃなくても、携帯電話が普及し始めた20年前でもこの見出しの意味は通じない。 スマホ?アプリ?呪文か念仏だと思うだろうな。 それほどまでに携帯電話の進化は速いわけで、手塚治虫先生が描いたアトムの世界で黒電話が活躍していても仕方がないことなのだ。 鉄腕アトムは2003年4月7日生まれだから今年で10歳。黒電話は文化遺産になりかけているし、自動車は空を飛んでいない。 そんな、手塚先生も予見できなかった未来生活の特集記事が「日経サイエンス」2013年9月号に掲載されていた。 「一家に一台、空飛ぶ車(50年後)」 実は、1956年に米民間航空管理局は「空飛ぶ車」の運用を認可している。航空技術者は、近い将来車が空を飛ぶと思っていたのだ。しかし現実は厳しく、今日でも米国製の軽スポーツ機が試験飛行を終えている程度。しかも価格は3000万円で、離陸するためには空港までドライブしなければならない。 こんな状況だが、MITのカミングズ博士は50年後の空飛ぶ車の登場を示唆する。ポイントは、「ドローン」と呼ばれる自動操縦で飛ぶ無人機。すでに米軍では航空免許を持たない兵士がドローンを無線操縦しており、空の渋滞を回避しつつ安全に車を操縦するには軍用ドローンを活用するのが近道か。 「遺伝子治療が医療を革新(50年後)」 2060年、患者の健康状態を予測する遺伝子検査の精度は高まり、日常化している。そして、疾患に関連する変異部分が見つかった場合、正常な遺伝子を核内に運びそれと置き換える。たぶんこれは実現するな。 実際、遺伝子検査の方はかなりの部分で実用化されている。出生前診断や大学新入生対象のアルコール代謝遺伝子診断は話題になったし、イギリスの軍隊では、遺伝子解析で持久力のある兵士を選抜している。 はたして小生は新技術の恩恵に浴せるのか。 「ドローンで遺伝子治療へ向かう」 こんな新聞の見出しが当たり前になる日を楽しみにしているのである。
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