633.食世代(2013.8.26掲載)
生活者の意識や行動の変化を研究する東京ガス都市生活研究所は、昭和生まれを対象とした「食」の世代研究に取り組み、9つのオリジナル食世代を定義した。 例えば、昭和元年〜10年生まれは「粗食世代」。…食べ盛りの頃に食糧不足を経験し、根底に食べ物のありがたみを感じている。食べられるだけで幸せ。 次の「整食世代」は昭和11年〜20年生まれ。…幼少期に給食の脱脂粉乳を経験し、バランスの取れた食事を意識するようになった。 そして、昭和33年〜39年生まれに該当する私の「宴食世代」を見てみる。…幼少期にカップラーメンを初体験し、社会人初期にグルメを経験。食の贅の極みを認知・経験しながら、日常の食の簡便化も進め、「ハレ」と「ケ」の幅を拡大した世代、とある。 う〜ん、ちょっと違うな。田舎で祖父母と同居していた関係で、食卓は常に和食系粗食(だから小1の給食でクリームシチューを初めて見て絶句)。カップラーメンを食べたのは高校に入ってからだし、グルメと呼べる行為に走れたのもごく最近の話。 食経験で世代を括る着眼は確かに重要だが、現実的には生活習慣、都市環境、経済状態などの影響で最大公約数が取りづらい。強いて挙げれば給食の思い出が世代のランドマークとなるか。 牛乳の場合だと、脱脂粉乳→瓶入り→三角パック→四角パック→ゴミ対策で再び瓶入り、という感じで世代が分かれる。他に、揚げパン、クジラの竜田揚げ、カレーうどん、そして忌まわしいクリームシチュー。 コーヒーを飲むシーンはどうだろう。ジャズ喫茶、うたごえ喫茶、純喫茶、ゲーム喫茶、銭湯のコーヒー牛乳、自販機の缶コーヒー、ドトール、スターバックス、コンビニコーヒー等々。 やはり、食の世代分けは難しい。 昭和55年、田舎の高校生だった私の部活帰りは肉まんが定番。そして、東京都内某私立高校出身の同世代知人は、部活帰りに青山でお茶。 食の世代研究ほど罪作りなテーマはないと思うのである。
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