639.勝てば官軍(2013.10.07掲載)
今年の敬老の日に発表された「100歳以上高齢者の都道府県ランキング」を見て驚いたことが2つあった。 1つは、100歳以上の人数が5万4397人もいたということ。私が生まれた1963年には153人しかいなかったわけだから、半世紀で355倍の大爆発。年金不正受給問題がちらついて、この方々が本当にご存命なのかと疑ってしまうほどの高齢化社会である。 2つめは、2、3、4位が高知、山口、鹿児島だったこと。つまりは、土佐、長州、薩摩という明治維新新政府の中枢藩であり、官軍のリーダーとなったことで100歳につながる環境が整ったのではと邪推してしまった。 大河ドラマの見過ぎかもしれないが、不条理な戊辰戦争を思うと、寿命においても「勝てば官軍」が当てはまりそうな気がしたのだ。 そこで、慶応大学医学部老年内科が百寿者500人を対象に長寿の秘密を調べた報告書を見た。 同研究チームが注目したのは、糖尿病罹患率の低さ。高血圧62%、骨折46%、白内障46%、心臓疾患29%、がん10%という持病歴の中で、糖尿病だけは6%。70歳代の糖尿病罹患率が20〜30%であることを考えるとかなり低いのだ。 そして、糖尿病にならない理由として、「アディポネクチン」というホルモン物質の血中濃度の高さを突き止めた。アディポネクチンはインスリンの働きを活性化させ、糖代謝が活発になる。ただ、ウエストが身長の半分以上の値になるとアディポネクチンの分泌が少なくなるから、肥満は要注意だな。 他に、「耳が大きい」とか「血液型はB型が多い」などのおもしろデータもある。耳は軟骨だから、「軟骨生成能力が高い=関節が丈夫」ということでデカ耳長寿説はうなずけるが、B型長寿はよくわからない。 残念ながら、出身県が官軍なら長寿という項目は見あたらなかったが、長寿者の結果論から研究がスタートすることを考えると、長寿要因自体が「勝てば官軍」なのかもしれないと納得した次第である。
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