640.ディープ技術(2013.10.14掲載)
最近来日する外国人観光客の特徴として、「長期滞在してディープな所に行く」という行動が話題になっている。 例えば、ラーメン博物館で昼食を取り、100円ショップでお土産を購入後、「谷根千(谷中、根津、千駄木)」を散策して下町情緒を堪能。その後、銭湯で日本人と一緒に汗を流して新宿の「思い出横丁」で安酒をあおり、宿泊は山谷の木賃宿。 こんなディープな世界に外国人が足を向ける根源的な要因は、「一つのことを極めるという日本文化の特色」がそこにあるから。ラーメンを極め、100円商品を極め、お風呂を極め、おもてなしを極めた日本人。 つまり、日本人というのは、製造技術、アニメ、食、宿泊など全てのジャンルで専門特化して道を極めるオタク精神を持っている。そして、その極めた所に人を引きつける魅力が生まれ、成果物が海外から評価されるというのだ。 確かに、茶の湯を極めた茶道を「お茶オタク」と笑う人はいない。そういう意味で、オタク文化が海外で評価されるのも、外国人が「求道者」としてオタクを正当に評価しているからなのだ。 コミュニケーション力に多少の問題があるからと、オタクを敬遠していた自身を反省。伝統技能の職人さんだってコミュニケーションは取りづらいわけで、世が世ならオタク呼ばわりされていたかもしれない。 自信を持って日本文化を紹介し、誇りをかけてメード・イン・ジャパンを輸出しよう。2011年度の日本の技術貿易収支額は約2兆円で、直近10年で4倍にも拡大しているぞ。 高度経済成長期の日本を支えたのはモーレツ社員だったが、今後、日本再生の鍵を握るのはオタクが生み出すディープ技術に違いないと確信した今日この頃である。
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