658.インフラ友達(2014.2.24掲載)
今から40年近く前の中一坊主の頃、母親から「中学校の時の友達が一生の友になるから大切につきあいなさい」と言われたことがあった。 確かに、現在交流のある親友は皆中学の同級生であり、母親の教えは正しかったと感謝している。体罰や根性部活や校内暴力を共有し、金八先生のごとき熱血教師とぶつかった3年間は、かけがえのない親友を醸成するにふさわしい原体験だった。 そして平成26年。町内に子供があふれ全員が貧乏だったあの頃とは違い、少子化と個人主義が進行し、貧富の差が拡大してきた今日の友達づくりは相当に難渋なことではないのか。友達づくりが面倒だから「おひとりさま」に走るのか。事実、10歳以上の日本人が1日のうち1人で過ごす時間の平均値は直近15年で約30分伸び、5時間20分となった(睡眠時間を除く)。 そんな現代の友達づくりを「インフラ友達」と定義したのが博報堂生活総合研究所の吉川昌孝研究員である。 年金問題や無縁社会が取りざたされ、社会の安定が揺らぐ今だからこそ「誰を友として生きるのか」は重要な生活課題になっていると吉川氏は語る。つまり、日々生じる様々な課題を解決できる友達を発見・選抜し、その人に機能を発揮してもらう。そして、その役割を通して関係を強化し、お互いの生活の質を高めるというのだ。 だから「インフラ」となったのだが、友達が電気、水道、ガス、電話のようなライフラインと同列だとしたらさみしい限り。しかし、吉川氏は割り切って「インフラ友達」を「かけがえのない使える人々」とも定義する。 まあ、公的インフラが当てにならない今日を生き抜くための同志と考えればいいか。 SNSなどで人間関係が自然に拡大する状況だけに、博報堂はあえて「友達」を切り口に市場分析をしたのだと思う。入社試験でフェイスブックの友達ネットワークを調べる企業があるというが、それも然り。 小生も新卒面接を終えた直後にその学生のフェイスブックを覗いてみた。 バリバリのリクルート好青年が、フェイスブックの中では茶髪のギャル男だった。 余計な悩みが増えてしまった。
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