665.お花見弁当を輸出する(2014.4.14掲載)
愛媛県地方の桜満開は先週の土日だったのだが、あいにくの荒天でデパ地下のお花見弁当売り場は在庫の山。 夕方5時半の段階で1500円の弁当が500円になっており、店主の「泣き売」に屈して3個も買ってしまった。娯楽のない時代の数少ないイベントだったお花見原体験のせいか、お花見弁当にはすこぶる弱いのだ。 そんな日本の食文化であるお弁当の輸出を提唱しているのが、愛知県の農業生産法人「新鮮組」の岡本重明氏。 岡本氏は、「農産物のままでは世界との競争に勝てない。山間部の小規模農家の農産物でも太刀打ちできるようにするには、おばあちゃんの弁当を急速冷凍して輸出すればいい」と語る。 たしかに、農産物を料理に加工することで売上は増える。弁当のご飯だと売価はコメの約10倍。政府も、日本の農産物・食品の輸出額4500億円を、2020年に1兆円にする方針を打ち出しているが、加工食品の比率を上げなければ金額は張らないということだ。 農水省は、イタリアを成功事例として掲げている。イタリアの農産物・食品輸出額は3兆4679億円で、その43%をワイン、パスタ、チーズ、ピザ、ハムなどの加工食品が占める。一方で日本の加工食品は味噌、醤油、日本酒、茶などが600億円ほどあるだけ。日本食もまだまだこれからだな。 そこでお花見弁当の登場である。季節感満載のお重の中には煮物、焼き物、揚げ物がならび、デザートまでついた和食ワールド。 あとはお弁当文化の浸透。 米国はマクドナルドとバーベキュー文化で、お弁当という概念がない。 中国は冷たいご飯を食べる習慣がなく、おにぎりやサンドイッチでさえも、コンビニのレジで「温めますか?」と聞かれてしまう。 食文化の壁は、どこも高そうである。
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