674.歴史接待(2014.6.16掲載)
50歳以上の客人をもてなす席で、接待トークの定番御三家を挙げるとすれば「歴史」「映画」「落語」あたりになるのではないか。 直近の接待10回を振り返ってみても、この3題をふってヒットしなかったのは、20代相手の1回だけだった。その1回は、「妖怪ウォッチ」で盛り上がって完全に蚊帳の外になってしまったが。 そこで、接待の席で使える歴史ネタをにわか仕込みするのに最適な番組、NHKBSプレミアム木曜夜8時「英雄たちの選択」を紹介する。 この番組が接待トーク向きな理由は3つある。「ディベート形式である」「もしものコーナーがある」「定番ネタ満載」。 ディベート形式…レギュラーの磯田道史先生が進行役となり、取り上げる歴史上のターニングポイントについて、その決断に至った経緯をディベートする。ゲストは経済学者、心理学者、歴史学者、軍事研究家などで、異業種の歴史観が飛び交う様はまさに宴席。 先週のテーマ「長篠の戦い」だと、武田勝頼が長篠城にこもらず織田・徳川連合軍に突っ込んでいった決断を喧々諤々議論していた。番組が用意したストーリーを淡々と進める「歴史ヒストリア」と違って広角な意見が出る。 もしも…歴史学の禁忌にあえてチャレンジ。「もしも近藤勇が池田屋に襲撃をかけていなかったら」→「長州の遺恨はなく、戊辰戦争も起こらなかった」など、磯田先生が仮説を披露し、ゲスト全員が突っ込みを入れるコーナー。 定番ネタ…経営者が酒肴にしたがる史実を確実に取り上げている。西南戦争における西郷さんの苦悩、日本海海戦での東郷平八郎の辛抱、清州会議での秀吉の知略など。 こうなったら、このスタイルで商品の開発秘話を番組にしてはどうか。「部長たちの選択」てな感じで、失敗作を生み出すはめになった分岐点を、ライバルメーカーの開発員、問屋の社長、スーパーのバイヤー、経営コンサルなんかがディベートするのだ。 磯田先生が「勝った戦からは何も学ばない」とおっしゃっていたように、売れなかった商品こそが真の教材となるのである。
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