674.衣食住行(2014.6.23掲載)
かつお節の消費量日本一はダントツで沖縄県であり、1世帯あたりの年間購入量1489gは全国平均の約5倍(2012年総務省調べ)。ラードに隠れてわかりづらいかもしれないが、沖縄料理はだしが濃く、比較的淡白な南方系の食材をおいしく食べることができる。 そして、だしが効いているから塩加減が少なくてすみ、全国平均と比べて2割も少ない塩分摂取量を達成している。 日本中が沖縄のようにかつお節を消費してくれれば、減塩で全国民が健康になり、かつお節屋さんも稼いで幸せになれるのにな…。ではなぜ沖縄はかつお節をたくさん使用するのか。 それは、中国の影響で「食」にこだわる思想が浸透していて、衣食住の中では食が一番という考えを持っているから。よって、かつお節に限らず食にかけるお金は惜しまない。 中国人の同僚曰く、「中国に衣食住という言葉はなく交通を表す『行』を加えた衣食住行だけど、やっぱり食が一番ね」。約2000年前に書かれた「漢書」にも、「民以食為天(民は食をもって天となす)」という記述があり、食は中国人の生活の根幹をなすのだという。 そして、同僚は「食指が動く」という慣用句の語源を教えてくれた。 中国の春秋時代(紀元前770年〜紀元前403年)、鄭の君主霊公のもとに楚から大きなスッポンが贈られたことがあった。その時、謁見中だった公子の人差し指がぴくぴくと動き、「こういう時は必ず珍しいごちそうにありつける」とつぶやいたという故事。 その後、スッポン料理に関するトラブルが原因で、公子は主君の霊公を襲って殺してしまう。スッポンごときで一国の君主が命を落とすのだ。まさに、食にこだわる+感情の沸点が低いという国民性を垣間見る故事ではないか。 とにかく、沖縄以外でもだしにこだわり、もっとかつお節を消費するべきなのだ。そのためには、「先ず隗より始めよ」。 中国の戦国時代(紀元前403年〜紀元前221年)、「どうすれば賢者を招くことができるか」と燕の昭王に問われた郭隗が、「まず私のような凡人を優遇することから始めてください。そうすれば優秀な人材が集まります」と。 先ず私がだしを取ることから始めます。
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