678.運動の効能(2014.7.14掲載)
大学生の就職活動事情において、「一流企業に就職するための6カ条」なるものがある。「地頭のよさ」「要領のよさ」「継続性」「体力」「ストレス耐性」「人に嫌われない、嫌わない」の6つである。 このうち、前半の3つが「難関校卒業生フリーパス」で、後半3つが「体育会系フリーパス」とされている。よって、六大学野球や箱根駅伝で名を馳せた俊英は、6カ条完全クリアの就活王となるのである。 まさに、体育会系のメリットは「根性」で仕事をこなす素養のギャランティであり、頑なに上下関係を尊ぶ姿勢は組織人として言うことなし。「頭脳」は後からついてくるというわけだ。 ところが、運動に関する最近の研究では、体育会系にはその「頭脳」も備わっているという成果が出始めている。 ルイジアナ州立大学のチャーチ博士らの報告によると、運動が知能(特に注意力や計画立案力)を求められる仕事を遂行する力を高めることがわかってきた。心臓病、脳卒中、糖尿病やがんのリスクを低減することは想像できるが、運動が学習能力を高めるとは驚きである。 確かに、長時間の運動によって気分が良くなる「ランナーズハイ」は脳内に大量に放出されるエンドルフィンが原因であり、運動によって脳内で集中力や思考力を高める化学変化が起こっている可能性もある。 この仮説通り、60代と70代の被験者120人を対象とした実験で、運動により「海馬」という脳領域のサイズが大きくなり、ニューロンの成長が促進されることがわかったのだ。 もはや運動しない理由はない。 庭いじりや洗車などのゆっくりした活動を1日に11分以上行うことで、40歳以降の平均余命が1.8年長くなるという米国のデータもあり、運動の効能は計り知れない。 ただ、たまに激しい運動をしても1日に6時間以上座っていると逆効果になる可能性があるらしく、デスクワーク人にとっては悩ましい限り。 とりあえず、洗車の頻度を上げようと思った夕まぐれなのである。
|
column menu
|