683.好きだった人とプレゼント(2014.8.25掲載)
70年代フォークの定番に、かぐや姫の「好きだった人」という曲がある。失恋の思い出をメジャーコード(C)で明るく歌う、伊勢正三(作詞)、南こうせつ(作曲)コンビの真骨頂が発揮された名曲である。 「好きだった人 ブルージーンをはいていた 好きだった人 白いブーツをはいていた 好きだった人 ステテコもはいていた 好きだった人 Tシャツが似合ってた 失恋という言葉は知ってたけれど 失恋という言葉は知ってたけれど」 以降、2番、3番と好きだった人の描写が続く。 そして、この名曲へのオマージュではないかと個人的に推測するのがジッタリンジン1990年のヒット曲「プレゼント」。 「あなたが私にくれたもの キリンが逆立ちしたピアス あなたが私にくれたもの フラッグチェックのハンチング あなたが私にくれたもの ユニオンジャックのランニング あなたが私にくれたもの 丸いレンズのサングラス あなたが私にくれたもの オレンジ色のハイヒール あなたが私にくれたもの 白い真珠のネックレス あなたが私にくれたもの 緑色した細い傘 あなたが私にくれたもの シャガールみたいな青い夜 大好きだったけど彼女がいたなんて 大好きだったけど最後のプレゼント bye bye my sweet darling さよならしてあげるわ」 登場するアイテムはずいぶんお洒落になったが、好きだった人を想起させるモノを羅列し、メジャーコード(F)で失恋を歌い飛ばすテクニックはすごく似ている。 くしくもこの手法、発売予定の新商品の特徴を見極め、キャッチコピーを生み出してヒットにつなげる作業に通じるものがある。 企画会議の参加メンバーが新商品のいいところを思いつくままポストイットに1つずつ書き、ホワイトボードに貼り付けていく。ホワイトボードが埋まったところでブレーンストーミング開始。他者のアイディアを決して否定せず、明るく討議しながら整理していくのだ。 とにかく、感じたことを1つでも多く言葉にしてポジティブに吐きすことが肝要であり、頭の中で悶々とするだけでは進展がない。 そういう意味で、「好きだった人」と「プレゼント」は、壁に突き当たった仕事を前進させるための大きな示唆を与えてくれる名曲なのである。 週末はカラオケで新商品ネタのブレストを敢行するのも一興かと思った。
|
column menu
|