691.自衛隊研修(2014.10.20掲載)
先日、イスラム過激派組織「イスラム国」に参加するためシリアに渡航しようとした北大生を、警視庁公安部が事情聴取した。 さすが日本の公安はすごい。 ふと、戦争ものの映画やドラマによく登場する特高警察を想像した。「銭湯の冗談も筒抜けになる」と揶揄された特高による赤狩りは戦時下の定番シーンであり、平和ボケの今日では体感することのない独特の緊張感を孕んでいた。 その特高、いや公安が乗り込んできたのだから、周囲は相当ビビったに違いない。「戦闘がしたい」という動機だったらしいから、本人はいたって平気なのかもしれないが。 そもそも思想的、宗教的志向がないのなら、地の果ての傭兵なんかより自衛隊を目指せばいい(競争率は高いが)。身も心も鍛えてくれた上にお給金までいただけるのだ。 かくいう私も、研修で3日間だけ陸上自衛隊に在籍したことがある。右も左もわからぬ23歳の春だった。学んだことは2つあった。 その1、階級社会。 指導教官は防衛大学出身の幹部候補生で、25歳ながら大尉どの。いわゆる将校さんである。この人がとにかくカッコイイ。そして、助手を務めたのが48歳の軍曹で、自分の父親くらいの年齢ながら大尉に頭を下げる様子にちょっとショック。 そして昼食時、将校は食堂も風呂も別のVIP室であることを知り、さらにへこむ。勉強するということは、こういうことなんだ。 その2、国を愛する心。 3日間だけとはいえ、朝夕国旗に捧げ銃(ささげつつ)の儀礼を敢行し、国防について勉強すれば自然と国を愛する心が醸成される。 そして最終日、大尉どのから「50kgの土嚢を担いだ50m走が7秒台とは立派である。我が隊に来ないか」とのお言葉をいただき目頭が熱くなった。ただし、ここで入隊するとあの軍曹と同じコースになることは学習済み。「お言葉のみ頂戴いたします」と最敬礼し、駐屯地を後にしたのであった。 研修費は1人数千円程度。人生観が変わる授業料として、北大生にもぜひおすすめしたいところである。
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