704.明日晴れるかな(2015.1.26掲載)
食品新聞社が正月5日号に掲載した「2015年業界天気予報」を見た。この1年の食品業界動向を、天気予報形式で予想するものである。 晴れ予想に名を連ねていたのは、ウイスキー、カップ麺、ヨーグルト、ノンアルコール飲料、紅茶、惣菜、チョコレート等々。確かに、どれも最近よく口にするものばかりのうらやましい業界。 しかし、調子のいい話から学ぶものは何もない。「勝てば官軍」であり、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」なのだから。 よって、雨予想の業界を見てみる。 茶葉…2013年に霜害で静岡茶の生産量が3割減となったが、大きな混乱はなかった。これはさみしい。バターなんて、生産量が9.2%減っただけで商品が売場から消える大騒動。まあ、ペットボトル入りの緑茶飲料が2リットル130円前後で買えるのだから、「急須に茶葉」が食卓から消えるのも無理はない。 鶏卵…これは意外だ。1人当たりの年間消費量は300個で世界第2位。卵焼き大好き民族が物価の優等生を見捨てるはずがない。と思ったら見切ったのは生産者の方。鶏卵1kgを生産するのに3kgの餌が必要だが、餌のトウモロコシがバイオエタノール業界との競合で高騰。円安も相まって、この50年で75%の養鶏家が廃業してしまったらしい。「優等生」のレッテルが邪魔をして暴れられなかったんだな。 椎茸…この業界だけ「暴風雨」だった。2011年の原発事故後に残留放射性セシウム問題が浮上して、風評被害も含めた深刻なイメージ悪化に直面したのだ。一部自治体が学校給食での椎茸提供自粛を続けていることも消費低迷につながっている。どっこい椎茸はビタミンD満載で抗ガン作用もある。小生、焼鳥屋さんで椎茸を外したことがない。泣くな椎茸。 他にもトマトジュース、ごま、かんぴょうなど、シンプルで栄養価の高い食品が雨予想となっている。 業界天気予報で「恵みの雨」など当然ないが、「やまない雨はない」のだ。とにかく、「明日晴れるかな」という心持ちで前進あるのみなのである。
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