721.朝顔ビッグデータ(2015.5.25掲載)
今年のゴールデンウィーク前、NHKの特番でビッグデータを利用した観光地の混雑予測を行っていた。 データの出所はネットの路線検索。何気なく入力した出発駅と到着駅と日時が活用され、大きな人のうねりとして表現される。番組では北海道の余市駅の混雑が予想されていた(マッサン効果)。 また、昨年11月2日に放送されたNHKスペシャルでは、医療現場におけるビッグデータの意義を解説していた。 例えば、済生会熊本病院に入院した延べ16万人を対象に、血圧、心拍数からトイレに行く回数に至る300項目のデータを解析したところ、入院日数と相関があるのは「痛みを訴える期間」であることがわかり、これを解決することで患者の入院期間短縮に成功した。 また、アメリカでは早産の新生児が感染症にかかるリスクを1000人のビッグデータから解析し、感染症が判明する24時間前から血中酸素濃度や心拍に前兆現象が起きていることを突き止めた。感染症が「予知」できる可能性が示されたのだ。 他にも、喘息の吸入器とスマートフォンを連動させ、吸入器を使用した時間と場所と天候から発作の「原因物質」を特定し、発作の頻度半減に成功した事例もある。 こんな感じで一見何の変哲もない数字に命を吹き込むわけだから、これまで不人気だった「統計解析」の大学講義も盛況になるに違いない。そして、将来は腕に装着したウェアラブル端末が体温、心拍、呼吸、歩数、独り言、ぼやき、あくび、くしゃみなんかを解析して病気を予測するのだ。 今から20年前、愛媛県の「夏休みの理科研究 優秀作品発表会」に参加したことがある。ある小学6年生の女子が受賞した最優秀研究は、6年分の朝顔の観察記録を気象データと絡めたものだった。ただ朝顔の背丈を測定しただけのデータが、ものすごく輝いていた。 今年32歳になっているはずの朝顔女子。もしかしたら、どこかでビッグデータを操って世界を動かしているかもしれないと思った次第である。
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