726.むつこい味(2015.6.29掲載)
京都大学の伏木先生によると、「脂」「砂糖」「だし」の組み合わせには病みつきになるおいしさがあるらしい。 脂×砂糖=ケーキ、脂×だし=ラーメン、砂糖×だし=すき焼き等々。なるほど好物ばかりだ。ただ、脂や砂糖には生活習慣病のリスクがあるため、「だし屋」としては、だしを利かせた低脂肪や低糖分メニューを提案して売り上げにつなげる日々である。 ところが、そんな提案が吹っ飛ぶ「脂肪分の多い食事を続けても太らない」という東京農工大木村准教授らの研究成果が報告された。 体内のたんぱく質「ニューデシン」が太りやすさに関わる物質であることを突き止め、遺伝子操作でニューデシンを作れないようにしたマウスを実験に使ったらしい。 結果、高脂肪食を16週間食べた通常マウスの体重が41gだったのに対し、ニューデシンのないマウスは体重32g。脂肪組織で脂肪の分解と燃焼が激しく起こり、体温も0.5℃ほど高かった。即人間に当てはまるわけではないが、何らかの応用はできそうである。 まあ、小生の年齢になると脂の多いものは自然と食べられなくなり、脂の取り過ぎなど心配ご無用の感はあるが…。 たとえば40歳のある日、「日清焼そばUFO」が食べられなくなった。胸やけするのだ。1食558キロカロリー。 次に50歳で「マックフライポテトMサイズ」を断念。こちらは1食454キロカロリー。 このままいくと、60歳で「ミスタードーナツオールドファッション」をあきらめることになるのか。1食328キロカロリー。 我らが「おかかおにぎり」が1個180キロカロリーであることを考えると、UFOもポテトもオーバーカロリーであるには違いない。ただ、病みつきになる脂の味も捨てがたい。 四国地方の方言で、脂っこい味のことを「むつこい」と言うが、山形弁だと「むつこい」は「かわいそう」という意味になる。 むつこい味が食べられなくなった、かわいそうなおじさんの話なのである。
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