729.日輪栄養学(2015.7.20掲載)
健康管理の基本は「睡眠と栄養」であり、睡眠も栄養も規則正しいリズムに乗っかることが肝要である。 そして、この考え方を学問に昇華させたのが「時間生物学」と「時間栄養学」ということになる。 時間生物学の権威であるミュンヘン大学レンネベルク博士によると、平日は午前6時に起床するが週末は午前9時頃まで寝ているという人の場合、3時間の時差を生じる飛行機旅行を週に2回経験しているのと同じダメージがあるらしい。休日の朝寝は要注意だな。 そして、このような概日リズムの乱れが肥満や成人病を招くことが判明している。例えば、昼夜がずれている交代勤務者を調べると、夜勤の多い人は代謝疾患や心血管疾患、胃腸疾患になるリスクが高いことが明らかになった。看護師さんは大変だ。 最新の研究で、体内時計は脳の親時計だけでなく肝臓や膵臓などの臓器や脂肪組織にまで存在していることがわかっており、生活が不規則だと末梢時計と親時計のずれが生じ、病気になりやすいという。 一方の時間栄養学は食事をいつ食べるかを考慮した新しい栄養学。 女子栄養大学香川副学長は、「野菜を炭水化物より先に食べる」「すべての食事を12時間以内にとる」「生体リズムは25時間。1日1時間のずれを朝食で修正」などの食事のポイントを提唱している。 小生、野菜は最後に食べ、夕食は朝食の14時間後、1日1時間のずれは昼寝で修正という感じで時間栄養学的には落第か。 まあ、都合よくいつでもどこでも食べたいものが食べられるようになったのは長い人類の歴史を考えるとごくごく最近のこと。だから、時間栄養学はぜいたくな栄養学。 ここはひとつ原点に立ち帰り、「日輪と寝食を共にする」という考えを取り入れてはどうだろう。つまり、日が昇れば起きて朝食を食べ、日が沈めば夕食を取って寝る。実にシンプルではないか。 これこそが、時間生物学も加味した「日輪栄養学」なのである。
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