732.神商品(2015.8.10掲載)
先日、朝10時半に銀座三越の開店に並んだのだが、どうも客の雰囲気がおかしい。服装が原色で、並び方に落ち着きがない。 ああ、これが爆買い中国人か。 はたして開店と同時になだれ込んだ店内では中国語が飛び交い、館内放送も中国語のアナウンス。まぁ、景気上昇のためには仕方ないか。 今年の4〜6月に訪日外国人が日本で使った総額は8887億円で昨年比4000億円増だが、支出額が最も多いのは中国人観光客で1泊あたり4万9695円。そして、そのうちの3万162円を買い物で払ったというのだ。 爆買いさまさま。 高級化粧品が売れるから資生堂もコーセーも売り上げは2割増。そして、医薬品が免税対象となった昨秋、中国メディアが「日本に行ったら買わねばならない12の医薬品」を発表。ここに5品がノミネートされた小林製薬も絶好調なのである。「サカムケア」「命の母A」「熱さまシート」「アンメルツヨコヨコ」「ニノキュア」。 これらは「12神薬」と呼ばれているが、そういや日本にも「神」のつく商品があったな。 三種の神器(1955年〜70年)…洗濯機、白黒テレビ、冷蔵庫。家族の多かった時代、洗濯機は家事の重労働から主婦を解放し、白黒テレビは美智子様のご成婚をお茶の間に届けた。 3C(1970年〜85年)…カラーテレビ、クーラー、カー。高度経済成長期、家電と自動車は日本の象徴だった。勤勉な日本人がつくる規格大量生産型商品が世界を席巻し、お茶の間の主役となった。 新・三種の神器(2000年〜15年)…デジカメ、DVDレコーダー、薄型大型テレビ。いわゆるデジタル家電だが、神器というほどのありがたみはない。元祖三種の神器は大家族の中心にあって家族をつないだが、単身世帯が3割を超えた今、個人の所有物なら単なる物欲の成果物でしかない。 神器と神薬。どちらも好況の糧となる神風であるが、次の「神商品」候補を開発すべく、精進する夏なのである。
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