738.500円(2015.9.28掲載)
野村総合研究所が実施している「生活者1万人アンケート」によると、「とにかく安くて経済的なものを買う」と答えた人は、2000年の50.2%から12年には41.2%に減った。 逆に、「多少値段が高くても、品質の良いものを買う」は00年の40.0%から12年には46.4%に増えて低価格志向を逆転。 このチャンスを逃すわけにはいかないと、加工食品メーカーは500円台の高価格商品を市場に投入し始めた。 大塚食品「The ボンカレー」は、軟らかくなるまで煮込んだ牛スネ肉と国産野菜にこだわって540円。ハウス食品「カレーマルシェスペシャリテ イベリコ豚とマッシュルームのカレー」はフレンチの老舗「シェ・イノ」の監修を仰いで540円。日清フーズ「青の洞窟PREMIUM グリル野菜のボンゴレビアンコ」は、大きめの具材で583円。 毎度薄利の198円特売で辛酸をなめている加工食品メーカーにとって、贅を尽くした500円商品は夢のような企画である。ただ、500円商品のブームは、1980年代後半のバブルの頃にもあった。当時も各社意気揚々と発売したのだが、価値を十分に伝えきれないまま「加工食品で贅沢は不要」という空気に押されて試合終了。 今回はどうかな。 とにかく怯まず価値を訴求し続けるしかない。 ふと、詩人のまどみちおさんが、自身の作品である童謡「ぞうさん」について語っていた内容を思い出した。 「ぞうさんぞうさん おはながながいのね そうよかあさんもながいのよ」 象に向かって「鼻が長いのね」と問いかけることは、「おまえは変わっている」と言うに等しい。しかし、象は卑屈にならず「大好きなお母さんと同じだよ」と胸を張って言葉を返す。 すばらしい。この短い歌詞に込められた愛と勇気に感動した。まどさんの解釈を聞いた後、幼稚園児たちが懸命に「ぞうさん」を歌う姿に目頭が熱くなった。そして、胸を張って高価格商品を売る気概がふつふつと湧いてきた。 「メーカーさんメーカーさん お値段高いのね そうよ品質も高いのよ」 よし、これでいこう。
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