748.出店戦略(2015.12.7掲載)
歯科医院の開業をたくらむ親戚が出店立地に関する相談に来た。私に不動産の知識などあるわけないが、全国5万6000軒という開業競争に飛び込むとなると、誰でもいいから巻き込みたい心境だったに違いない。 郊外に医院を新築する案は初期投資がかさむからボツにし、繁華街の賃貸を物色。坪単価2万円の一等地か1万円の路地裏か、はたまた5千円の幽霊マンションでひっそりやるか。 責任の持てない意思決定には関わりたくないから、飲食店なんかの出店戦略事例を紹介してお茶を濁すことにした。 超一等地に出店する「日高屋」 首都圏に350店舗を展開する「熱烈中華食堂日高屋」は、駅前一等地にしか出店しない。車社会でロードサイド型のチェーンが伸びる中、あえてマクドナルドや吉野家の隣接地を狙う戦略。 ラーメンの市場規模は牛丼の2倍でハンバーガーとほぼ同じといわれており、ラーメン一杯の価格をこれらと同じ390円にすることで、顧客に外食の選択肢を提供したわけである。 過疎地を狙う「セイコーマート」 北海道で1077店を展開するコンビニ「セイコーマート」。大手を抑えてトップの出店数だが、昨年末に出店した留萌管内初山別村(るもいかんないしょさんべつむら)は、商圏人口わずか900人の過疎地。 常識的には出店価値のない場所だが、スーパーもコンビニもドラッグストアもない村に店を構えれば、全村民が来てくれるという戦略らしい。 混雑店をつくらない「西松屋」 子供向け衣料と雑貨販売で900店舗を展開する「西松屋」は、繁盛しない店づくりで20期連続増収を達成。200坪の店舗に来店客数1日150組。店員はレジと品出しの2人だけで、売り場は閑散。 この、「がらがらで大丈夫か」という感じが逆にいいらしいのだ。欲しい商品がすぐに探せ、ベビーカーを押すストレスもなく、レジ精算も早い。逆転の顧客満足発想なのである。 さてどうする新米歯科医君。 3つの事例のいいとこ取りで、「一等地ながらライバルがいない歯科過疎地で繁盛しない医院経営」に挑戦してみてはどうだろうか。
\\\\
|
column menu
|