753.ちょっと無理する養生訓(2016.1.18掲載)
1990年ごろ、食生態学者の西丸震哉氏が「1959年以降に生まれた人は41歳までしか生きられない」というショッキングな「41歳寿命説」を提唱してブームとなった。 飽食や添加物、公害やストレス過多などが短命化の要因という説だが、結果は大外れ。近年では忘れ去られた学説となっている。ただ、西丸氏が調査した世界の健康長寿村の存立6条件は、十分参考に値する。 それは、「水と空気がよい」「気候がある程度厳しい」「労働がある程度きつい」「ストレスが少ない」「カロリーとタンパク質を摂りすぎない」「野菜を大量に食べる」。 なるほど、沖縄の100歳おばあが似たようなことを言っていた。豊かな自然の中でエアコンに頼らず、くよくよしないで毎日働くことが長寿の秘訣だと。 ポイントは「ちょっと無理する」ことだと思う。環境が整い過ぎて楽に暮らせると、逆に生命力が落ちるのだ。 今の状況でちょっと無理するとすれば、対策は食事と運動しかない。 まずは食事。これは「空腹」と「ゆっくり」で無理をするべし。人類はわずかな食糧で生命を維持し、飢餓時代を生き抜いてきたわけだから空腹状態の方が体調はいい。腹八分目を継続すると、50歳時の肉体年齢が35歳状態になるという報告もある。 そして、ゆっくり食べることで血糖値の上昇とインシュリンの排出が抑えられ、糖尿病のリスクが下がる。ガンや心臓病を患っても長生きは可能だが、糖尿病患者は間違いなく短命。だから、どうしても早食いになる「丼もの」を避けるのが得策なのだ。 次に運動。いかなる運動にも「無理」が伴う50代。究極の処方は通勤時の早歩きと考える。駅までの10分、背筋を伸ばして大股早歩き。腕を大きく振って、かかとから着地することも忘れずに。 筋力は生命維持に重要で、筋肉量が10%減少すると免疫力が低下し、20%減少で感染リスクが高まり、40%減少で死に直結するほどリスクが高くなる。 41歳寿命説を生き延びた1963年生まれの私、ちょっと無理してちょっと長寿をたくらんでいるのである。
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