778.島の暮らし(2016.7.11掲載)
2013年のNHK土曜ドラマ「島の先生」がものすごくよかった。私の母の実家が瀬戸内の小島だったから、毎回ノスタルジーに浸りながら見入ってしまった。 問題を抱えた都会の生徒たちが鹿児島県の離島に留学し、里親や先生とぶつかりながら共に成長するストーリー。島の風景も主役の仲間由紀恵も美しかったが、淡々と子供たちに接する里親役石坂浩次の抑えた演技が最高に素晴らしかった。 そんな島の暮らしが見直されるデータを、豪州のブライアン・ホールデン視覚研究所が報告した。 近視で眼鏡かコンタクトが必要な人は、2000年に世界人口の4分の1だったが、2050年には半数近くになると予想。そして、この解決策が「外で遊ぶこと」だと。 一般にパソコンやテレビゲームのやり過ぎが近視の原因とされるが、科学的根拠はほとんどなく、「テレビは離れて見なさい」という警鐘にもあまり意味はなかった。さらに、遺伝の影響も小さい。ただ、3年間毎日40分間多く屋外で過ごした子供は、対象群より近視になりにくかったというデータがある。 また、急速に近代化したせいで急激に近視が増えたシンガポールの事例も参考になる。徴兵検査で調べた若い男性の近視率は、1970年代の26%から1990年代末に83%に達したのだ。 これはもう島で暮らすしかない。 1970年前後、夏休みになると必ず母の帰省にくっついて瀬戸内の小島に長期滞在した。人口4000人程度の島だが、保育園、小中学校、病院、郵便局に劇場や商店街まで揃ったスモールワールドだった。 飲料水を水運搬船に依存するような不便な暮らしだったが、朝日を浴びてきらきら輝く瀬戸内海の美しさは今でも胸に焼き付いて離れない。 そして、3週間くらい島に滞在していると、近視になりかけの0.6くらいの視力が必ず1.5まで回復した。 山の緑と海の青ばかりを見る目に優しい日々。今まで眼鏡不要でやってこれたのは、島のおかげかもしれない。 件の視覚研究所に、データ供与しようかと思った次第である。
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