787.コスト意識(2016.9.19掲載)
名を成した経営者が語る理念や信条は業界や人となりによってさまざまだが、ことコスト意識に関しては共通しているような気がする。そこには「ケチ」という言葉には収まりきらない、壮大な哲学があるのだ。 私が影響を受けたコスト意識に関する名言を紹介する。 その1.食品業界K社長「グリーン車でもビジネスクラスでも乗っていいよ」 ビジネスマンであれば、出張で新幹線や飛行機を利用する際にプレミアムシートに乗りたいと思うのは自然な願望。単独出張では無理でも社長のお伴ならOKという社内規定があり、K社長にグリーン車をおねだりした。 そこで飛び出した名言。「乗っていいよ。普通席より早く着くならね…」。 その2.外食業界M社長「100円ショップで電池買ってどうする」 100円ショップには経営のすべてが詰まっているというM社長に同行してダイソーへ。「今日のテーマはLEDライト。全部買いなさい」と言われて棚の全アイテムを買い物かごに入れていたところ、「それは買うな」と一喝された。よく見ると、その商品だけ「電池別売り」だった。 そこで飛び出した名言。「電池買ったら100円の意味がないだろ。細部に気づかなければ経営はできませんよ」。 その3.戦国武将織田信長「金のかかることばかり言うな」 安土城下で大相撲興業を実施した時のこと、結びの一番が終わると同時に家路を急いだ見物人が将棋倒しになり、けが人が多数発生した。そこで信長は「けが人が出ないような対策を打て」と幹部たち命じた。 しかし幹部の出す案は、道を広げてほしいとか警備員を増やしてほしいなどとコストのかかることばかり。 そこで飛び出した名言。「金のかかることばかり言うな。結びの後に弓取り式をやれば帰路が分散し、タダで安全運行できるじゃないか」。 すべての名言に共通しているのは、費用対効果を考え抜いた果ての「ケチ」を楽しむ精神。 出張帰りにどんなに疲れていても、「着く時間が同じなのにもったいない」とプレミアムシートの客を見下しつつ、普通席でひとりごつのである。
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