793.30年(2016.10.31掲載)
社会人になって30年が経った。 就職時、どういう経緯で食品業界を選択したのか記憶は曖昧だが、当時の就職人気企業ランキング理系ベスト5は、NEC、富士通、日立製作所、本多技研工業、ソニー。電子電気系全盛期で食品メーカーはかけらもなかった(もちろん、高嶺の花ばかりだが)。 それがなんと今年の理系ベスト5は、トヨタ自動車、味の素、カゴメ、明治グループ、資生堂と、食品メーカーが3社もランクインしている。ベスト10まで広げると、サントリーとキリンが入ってきて5社。 すごいぞ、30年で食品業界の地位が向上したのか他業界が衰退したのか。とにかく企業人としてあと10余年。さらに盛り上げ、比較的地位が低いとされる食品業界の楽しさを伝道したい。 ふと、グリム童話の「寿命」という話を思い出した。 神様が世界を創り終わった時、全ての動物たちに30年の寿命を与えようとした。しかし、ロバは「重い荷を背負って生きるには長すぎる」と18年を削ってもらい、犬は「そんなにいつまでも走り回れない」と12年を減らし、猿もまた「陽気な馬鹿をやっているには長すぎる」と10年を返上したのである。 ところが人間は、「自分の家を建て田畑に実りをもたらし、カマドの火が燃え盛ってこれから暮らしを楽しもうという時に、なぜ死ななければならないのか」と嘆き、ロバの18年と犬の12年と猿の10年を加え、70年の寿命を受け取ったのだ。 だから人間は、最初の30年は人間の寿命を元気に生き仕事にも喜びを見出して生きる。ところがその後は、へこたれながら重い荷を背負う18年、走る元気のなくなった12年、そして間の抜けた10年を過ごすことになった、という話である。 さて、これからどんな重い荷を背負わされるのかな。 走れず間抜けな恍惚人にならぬよう、楽しく精進する所存である。
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