796.MHC(2016.11.21掲載)
むかし、NHKの医学系バラエティ番組「解体新ショー」で、ヒトの体臭に関するおもしろい実験を紹介していた。 男性が2日間着用した体臭たっぷりのTシャツを数人分女性に嗅がせ、どのTシャツの匂いが好きかを答えさせた後、その男性とご対面という大胆な「パンチDEデート」実験。 成立した「カップル」はさまざま。意外性あり、年の差あり。あぁ、街行くカップルを見て納得できなかった積年の謎が解けた。やっぱり恋愛は外見じゃない、フェロモンなんだ。 科学的に調べると、体臭の中に異性を引き付けるフェロモンが含まれていたわけではなかったが、女性はMHC遺伝子の違いがより大きい男性の体臭に引き寄せられるという仮説が検証された。 MHCとは、主要組織適合抗原複合体(Major Histocompatibility Complex)の略称。免疫細胞が自己と非自己を識別する際に使う目印で、MHCが適合していないと臓器移植の際に拒絶反応が起こってしまう。 このMHC遺伝子が個人の体臭に関与し、女性は自分と遠いMHC遺伝子を嗅ぎ分ける。そして、自分にない遺伝子を獲得し、子孫繁栄につなげるのだ。 つまり、体臭を手掛かりに遺伝子の離れた相手と結婚することで異なるMHCを受け継ぎ、子孫の生存力強化を目論む。だから、思春期の女性は遺伝的に近い父親の体臭をオヤジ臭いと嫌う。 そっか、本気で嫌われてたわけじゃなかったんだ。血のつながりの証だったのね。 ならば、このしくみを香水に生かせないか。ターゲットのMHCを調べ、その遺伝子とできるだけ離れたMHCの香りをオーダーメイドすれば、「勝負香水」ができるのではないか。 いやいや、香水だけじゃないぞ。この香りを食品に配合し、「ついつい食べちゃうMHCスープ」なんて商品もできそう。 不埒な妄想で、イグノーベル賞を狙う所存である。
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