798.早食い(2016.12.5掲載)
早食いは肥満のもとである。 国立健康・栄養研究所などの研究グループが、全国の女子大生1695人を対象に実施した調査によると、食べる速さが「とても速い」と答えた人の平均体重は55.4kg。「とても遅い」と答えた人より平均で5.8kg体重が重かった。 身長差を考慮するためBMI値の比較も実施したが、「とても速い」が22.0、「とても遅い」が19.6。やはりダイエットには、ゆっくり食べることが必要なんだ。 この調査での発見は、早食いの人ほど食物繊維の摂取量が少なかったということ。食物繊維の少ない食事は食べやすく、早食いが加速。満腹中枢が機能する間もなく必要以上に食べてしまう。他に、早食いの人ほどダイエット経験者が多いということも分かった。 私は食物繊維の多い食品を好んで食べるが、早食いである。昭和40年代、しゃべりながら食べるとぶん殴られる食卓で育ち、数少ない肉を兄弟で奪い合った当然の帰結として、早食いである。今でも食事は10分以内。無言で食べる。集中して食べる。 だから、2時間もかけて食べるフランス料理のフルコースが耐えられない。「早く次の料理持って来い」とクレームをつけたことが何回もある。くやしいが貧乏性が抜けきらないのだ。 フランス料理のスタイルが確立したルイ王朝の頃、貴族にとって食事は数少ない娯楽のひとときであり、2時間なんてあっという間だった。クラシックのコンサートも2時間、オペラも2時間。ついでに江戸時代の一刻も2時間。2時間は優雅な時代の1単位だったのだ。 育ちがいい人ほど遅食いで、優雅に食べて5.8kg体重が落ちるというならそれもいい。 けど、本当においしいものをカウンターで食べる時は早食い上等。揚げたてのキスの天ぷらをペロリ。にぎりたての中トロをペロリ。出された瞬間の最高の味を瞬時にいただくのがカウンターの流儀ではないか。 だから早食い万歳なのである。
\\\\
|
column menu
|