801.米百俵(2017.1.2掲載)
年末年始は一升瓶を傍らに据えて、時代劇三昧だった。 昨年末に放送された「子連れ信兵衛2」全7回を通しで見直し、新年1月6日スタートの「雲霧仁左衛門3」の前作であるパート1、パート2をフル見直し。 たったの1合でへべれけになる下戸ではあるが、やっぱり時代劇には日本酒でしょ。そして、しろめし3杯。 普段は本当にコメを食べなくなった。平均すると1日お茶碗2杯。日本人として情けないが、1合炊けば十分なのだ。日本のコメの収穫量も、減反政策によりこの40年で4割減ってしまった。 減反の「反」は、昔ながらの田んぼの単位。 江戸時代の石高計算基準によると、大人1人が1年間に食べるコメの量が1石で、1石のコメが収穫できる田んぼの広さが1反(300坪)。テニスコート4面分で、野球の内野より一回り大きいぐらいの広さである。 ちなみに1石=100升=1000合だから、1年間に1000合。つまり、1日に1人で2.7合コメを食べるという計算になる。お茶碗約6杯。時代劇に浸ってもさすがにこれは無理。 では、2001年に当時の小泉首相が国会の所信表明演説で引用した「米百俵」のエピソードは、どのくらいのスケール感か。 1石は2.5俵だから100俵は40石。1石は貨幣で1両にあたり、日銀の推定だと30万円〜40万円に相当する。よって、「米百俵」は1200万円〜1600万円となる。 幕末の戊辰戦争に敗れ、困窮した長岡藩が見舞金として送られたコメを売って学校の建設資金に充てたというエピソード。コメの売却を決めた大参事の小林虎三郎は抗議する藩士に対し、「百俵の米も食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」と諭した。 ふと、幼なじみのK君の母上を思い出した。初めてK君宅に遊びに行った小学1年の夏、強風が吹けば倒れそうな掘っ立て小屋を見て唖然とする私に、母上はこう語りかけた。 「笑いたければ笑いなさい。お給料はすべて教育費に充ててるのよ」 K君は東大に行き、外交官になって、両親に家をプレゼントした。 絵に描いたような米百俵物語が、身近に存在したのである。
\\\\
|
column menu
|