809.こっちにいるあなたと(2017.2.27掲載)
ロマンチックなタイトルであるが、出所は日本ハム「切れ目入り赤ウインナー」の原材料表示。 「着色料(コチニール、アナトー)」 コチニールアナトー、こっちにいるあなたと。春ですね〜、ポエムですね〜。 現実的にはコチニールもアナトーも食品添加物の赤い色素で色はあるが、色気は全くない。 特にコチニールはおどろおどろしい。カメムシの一派であるコチニールカイガラムシという昆虫の雌から抽出する色素なのだ。この虫、見た目はいかにも害虫だが、早稲田カラーのえんじ色をタダでせっせと作り出すわけだから、益虫には違いない。 原産はメキシコで、ウチワサボテンに寄生する。かつてはメキシコ先住民のみが使える色だったが、統治したスペインがプランテーションでコチニールカイガラムシを育成し、ヨーロッパに運んで巨万の富を得た。 メキシコ、サボテン、コチニール。なんだか赤ウインナーがラテン男に見えてきたぞ。ホセ・パンチョスてな芸名で、タコウインナーが踊りだしそうな気配である。 日本では明治10年頃、小笠原父島にサボテン318本を植えてカイガラムシの育成に挑戦したが、たび重なる台風禍で失敗。サボテン畑は打ち捨てられてしまった。 一方のアナトーは、「紅の木」というメルヘンな名前の樹木の種子から抽出する色素。赤い木の実の赤い色素。これにはサイドストーリーがなさそうだ。 ピコ太郎にあやかってコチニールとアナトーをくっつけてみた。「こっちにいるあなた」とお近づきになりたい今日この頃である。
\\\\
|
column menu
|