813.変化の人(2017.3.27掲載)
新卒採用試験の季節がやってきた。 入社面接の定番として「あなたの短所は何ですか?」という質問があるが、「熱中するとまわりが見えなくなることです」という回答もまた定番。 短所を答えつつ「自分には集中力がある」ことをアピールしているわけだが、学生の8割がこの答えだとさすがに辟易してしまう。 先日、「短所は頑固なことです」と回答した学生さんがいた。おもしろい。けど、新人のうちから頑固はまずいだろう。「頑」という字は節くれだった丸太を意味し、使えないものの象徴。「短所は使えないことです」となってしまう。 職人の世界なら頑固は美徳かもしれないが、ビジネスマンは変化してなんぼ。孔子でさえ自身が頑固にならないよう注意していた。 「子、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし」 勝手な推測をせず、人に押し付けず、頑固にならず、我を張らないという4つの戒め。難しいな。 とくに頑固にならないのは大変。人間は変化を嫌う惰性の動物で、人の思考のほとんどが「いかに変化をしなくてすむか」を考えることに費やされている。新商品の開発会議でさえ、「そんな前例のない企画無理だろ」という常套句が飛び出す始末。 ではどうすればいいのか。 孔子曰く、「学べば則ち固ならず」だと。 年をとると頑固になる人と自由になる人がいるが、後者は多くを学ぶ人であり生涯現役の人。多くを学び、たくさんの経験をすると、頑固な自分が小さく感じ、人生は生涯チャレンジの場であることに気付くのだ。 そして、偉そうにしないこと。へらへらすること。尊大な態度が身についてしまうと、過去にしがみつく進歩のない人になってしまう。 結論、多くを学び、たくさんの人と会い、へらへらする。 こんな人材がまわりにいたら、それは「変化の人」。すなわち、イノベーションを起こす時代の寵児となる人材、いや「人財」なのである。
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