816.しずかちゃん(2017.4.17掲載)
新入社員研修の冒頭で必ず提示するフレーズがある。 「いい人は自滅するから、ちょっとだけいい人をめざせ」 事実、過去に偉くなった先輩を思い起こすに、腹の黒い人が結構いたなぁ。けど、真っ黒ではない。 この、ちょっとだけいい人という微妙な感覚、ヘッドハンターの武元康明氏がドラえもんの登場人物を使って見事に解説している。 縦軸を「自信」、横軸を「協調性」としてマトリクスを作り、自信があって協調性のある左上のポジションにしずかちゃんを置く。そして、自信はあるけど協調性がない右上がジャイアン。あと、左下がのび太で右下がスネ夫。 新卒面接では優等生のしずかちゃんタイプが有利だが、実務で成功するにはジャイアンの要素も必要。逆境や罵声を押しのけてイノベーションを成し遂げるには、多少の協調性を犠牲にする必要があるのだ。 となると、しずかちゃんとジャイアンの中間くらいがいい感じのバランスか。まずは優等生で入社。その後、修羅場をくぐって胆力と折れない心を醸成し、しずかちゃんとジャイアンのハイブリッドを目指すんだ。 ここで、武元氏が気になる解説をしていた。のび太のカテゴリーに「友達が多い」と書かれていたのだ。 協調性はあるけど自信のない左下ポジション。自信がないから周囲に迎合し、友達に依存しているということか。ならば友達に恵まれる環境は、ビジネスにとって必ずしもプラスではないのかもしれない。 生まれ育った実家の隣に、我々と決して交わらない孤独な少年がいた。草野球に参加せず、御神輿も担がない少年は私立の中高から東大に行き、外交官になった。 彼がしずかちゃんとジャイアンのハイブリッドで、私がのび太? 新入社員をしごきながら、ちょっとだけ背筋が寒くなった昼下がりである。
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