822.元ヤンコンサル(2017.5.29掲載)
最近、むかしヤンキーだったという2人のコンサルタントと仕事をしている。 1人は人材育成系でもう1人は食育系。ご両人とも40歳絡みだから、最後のヤンキー世代ではないか。 巷でヤンキーを見なくなって久しい。街はすっかりオシャレになり、パンチパーマとジャージで闊歩できた時代が信じられないくらい若者は小ぎれいになった。 しかし、そのせいで善と悪の見分けがつかなくなってしまった。パンチパーマは悪のランドマーク。水原弘や大村崑のホーロー看板が田舎の目印であるように、人はパンチ密度で街の空気を読み、身を守る道を選んだ。つまりは、わかりにくい時代になってしまったということ。 地方都市におけるパンチパーマの減少傾向は、昭和50年代半ばに端を発する。近藤真彦氏がマッチカット(ストレートヘアーで前髪半分を額に垂らす)なる髪型を流行らせ、ヤンキーたちもこぞって真似た。結果、パンチパーマが恥ずかしくなり、自然、ヤンキーの気配が消えた。 ヤンキーは恐い、ヤンキーは吠える、ヤンキーはキレる。げと、ヤンキーが恐いのは小心者であることの裏返しであり、根はすごく優しい。ヤンキーが吠えるのは動物だからであり、動物だと思えばとてもかわいい。ヤンキーがキレるのはカルシウムが足りないからであり、おふくろの味に飢えていると思えばかなりいとおしい。 ヤンキーにはカルシウムが必要なんだ。カルシウム不足と情緒不安定との関係は科学的根拠に乏しいが、理屈はともかく、カルシウムの多い食品を見ればその因果関係の正しさが見えてくる。 煮干し、干しえび、ひじき、ごま、切干大根…。ちょっと貧しいかあちゃんの味、地味だけど切ない味。こんなセンチメンタルな食材を摂ることで、母を想い、国を想い、弱者を思いやることができるのだ。 ちょっとだけ悪の匂いが残っている2人の元ヤンコンサル。コツコツがんばるキレない人材育成には定評があるし、和食の重要性を説く調理実習には貫禄と説得力がある。 ひと回りしてコンサル業にたどり着いた両氏、同朋として目が離せない元ヤンなのである。
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