845.流通革命(2017.11.13掲載)
深夜族の公民館、50坪の冷蔵庫、現代のかどみせ、ミニスーパー…。こんな二つ名を持つコンビニエンスストアが日本に登場して45年。 そして、王者セブンイレブンの国内店舗数がもうすぐ2万店を突破する。 常に質の向上を目指して邁進する求道者セブンイレブンは、妥協なき日々を重ね成功を勝ち取った。おにぎりの年間販売量23億個、お弁当は6億個。結果、売上高4.5兆円となり流通業界の雄となった。 セブンイレブンの品質に対するこだわりはものすごく厳しい。徹底追求についていかなければ退場あるのみ。だから各メーカーは必死で鍛錬を重ね、レベルアップを図り続ける。 悦びもある。ついていくことで得られる大きな売り上げはもちろんだが、高い次元のこだわりが正しく評価された時の満足感は至福。あぁ、体育会系。 だから、人事異動でセブンイレブンの担当を外れると一瞬ほっとするが、すぐに寂しくなる。よって、出戻りも多い。これが「チームセブン」の強さなんだ。 こんな感じで変化に挑戦して流通革命を成したセブンイレブンであるが、実は300年前にも、「質の向上をしながら変化に挑戦し、流通革命を起こした」ものがあった。 それは、かつお節である。 室町時代末期、はるかモルジブから日出ずる国にたどり着いたかつお節だが、冷蔵庫がなかった当時、煮たカツオを煙でいぶしただけのモルジブ式かつお節は日持ちせず、生産地近郊の消費だけにとどまっていた。 ところが元禄時代、かびに表面を覆われたかつお節は風味がよくなって日持ちが向上するということを江戸人が偶然見つけ、「かび付け」という発酵工程へと昇華させた。これにより、薩摩、土佐などの産地から遠く離れた江戸での消費が可能になったのである。 かびに表面を覆われるという常識的には受け容れ難い変化に挑戦し、品質を向上させつつ商圏を拡大した。まさに300年前の流通革命である。 そして今、売り上げの4割を占めるというコンビニデイリー商品の中で、おにぎりの具やお好み焼きのトッピングやおでんのだしとして流通革命に貢献するかつお節。 身を削りながら、悦んでついていく体育会系食品なのである。
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