857.ゲットアウトデーモン(2018.2.19掲載)
今年も無事豆まきが終わり、年の数だけイソフラボンを摂取した。 みすみす販売戦略に乗るのもなんだが、コンビニ店長の笑顔に負けて恵方巻きも丸かぶった。セブンイレブンが命名して30年。完全に定着した感はある。 NHKのアンケート調査によると、恵方巻きを食べるという人の比率は67%で行事食の中で5位だった。ちなみに1位は年越しそば84%、2位は正月の雑煮82%、3位おせち料理78%、4位クリスマスケーキ75%。なぜか年末年始に集中している。 節分で思い出すのは、いとこの家にホームステイしていたアメリカ人大学生のこと。たまたま節分の日にいとこを訪ねた私は異国人と一緒に豆を投げ、異文化を伝えた。 英文科卒のいとこは苦労して「節分」を訳した。「The traditional end of winter」。確かに節分は立春の前日だから冬の終わり。「Get out demon」なんて言わなくてよかった。 鬼退治が終わった後、そのアメリカ人に年の数だけ豆を食べることを勧めたが、「それはメキシカンの食べ物ね」と言って食べようとしなかった。なんだか根の深そうな問題だったし、「豆由来のイソフラボンを摂取するとキレイになるよ」と英語で伝えきる自信がなかったので話題を変え、他に食べたくない日本食があるか聞いてみた。 「タコ焼きは食べたくない。タコはデビルフィッシュって言うのよ。タコなしならいいけど」…タコがないとねぇ。 「海藻は食べたくない。海の中の毒を全身で引き受けているから」…それがミネラルたっぷりの理由ですけど。 「食パンは食べたくない。不自然に白すぎて栄養がない感じ」…確かにアメリカには白い食パンが少ない。 アメリカで完全に定着した日本食は醤油、カニかま、カップラーメンの3つだけで、あとは健康のために頑張って食べていると聞いたことがある。なるほど食文化の壁は厚い。 ついでに、「巻き寿司の丸かぶりは行儀悪いか」とたずねてみた。「回転寿司で食べ終わったお皿を重ねることの方が行儀悪い」という答えが返ってきた。 異文化を学んだ節分の夜であった。
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