863.ダイアモンド博士(2018.4.2掲載)
大学時代、何の興味も持てなかった文化人類学の講義。単位を取るためだけにあるような教養課程において、その象徴のような学問だと思っていた。 ところが、社会の垢にまみれながら本や映画や傑物との出会いが30年ばかし堆積した今日、ちょっとだけ文化人類学を学んでみたくなった。民族、宗教、イデオロギー、言語と進化、戦争と平和、文化と文明。 そんな知的好奇心を満たす番組をNHKがやってくれたのだ。 それは、Eテレで新年1月5日から毎週金曜夜10時に放送されていた「ダイアモンド博士のヒトの秘密」。 全12回にわたって講師をしてくれたのが、「人間はどこまでチンパンジーか? 人類進化の栄光と翳り」「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎」等の著書で有名なUCLAのジャレド・ダイアモンド博士。 各回のタイトルを見ただけでワクワクする。 「1.6%のドラマ」「動物のコトバ、ヒトの言語」「夫婦の起源 性の不思議」「不思議いっぱい ヒトの寿命」「農業は人類に何をもたらしたか」「進化から見た文明格差」「地球外生命体も進化する?」 第1回目の講義を紹介する。 ヒトとチンパンジーの遺伝子の違いは僅か1.6%であり、宇宙人から見ればヒトは「第3のチンパンジー」である。 ヒトとチンパンジー分かれたのは500万年前。300〜200万年前にヒトが2足歩行を始め、アウストラロピテクス、ネアンデルタール、ホモサピエンスに分かれた。ホモサピエンスが残ったのは、発達した言語を持っていたから。言語があれば計画を立てることができ、他の種より優位に立てる…。 そして、最も興味深かった講義が地球外生命体を論じた回。大宇宙には他の生命体もいるだろうに、なぜエイリアンが地球にやってこないのかの解説が怖かった。 結論は、「高度文明は長続きしないから交わらない」。 地球誕生から45億年、生命誕生から35億年だが、交信できる文明はマルコーニが無線電信を発明した1901年以降。しかし、2050年には核戦争と環境破壊で文明は崩壊する。この間たったの150年。長続きしない高度文明では、異星人どうしが交わる可能性が低すぎるというのだ。 え〜っ、2050年には文明が崩壊するの? 詳細を学ぶべく、ダイアモンド博士の著書を読みあさる今日この頃である。
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