871.ヒデキ感激(2018.5.28掲載)
職場の書庫にある自社の年表をめくっていたら、「1959年 千鳥カレー発売」とあった。千鳥は本業のシンボルマークである。 OBに聞くと、化学調味料の出現で天然だしが衰退するんじゃないかとの危機感から、カレールウに手を出したのだと教えてくれた。その後、化学調味料に侵食されることなく本業が忙しくなり、カレー市場からは撤退した。 カレーは1ヶ月平均4皿食べる国民食。続けときゃよかったかな。 日本で初めてカレールウを発売したのは東京神田の「一貫堂」。1906年のことらしい。 一気にブレイクしたのは1963年発売のハウスバーモントカレーだよぉ〜。それまでのカレーの固定観念を破る甘口タイプの子供向け。リンゴとハチミツとろ〜りとけてるCMの映像は、心に深く染みついて離れない。 いとしこいし司会のTV番組「がっちり買いまショウ」で、値段調整の材料にされていたグリコワンタッチカレー(1960年発売)に心奪われた時期もあったが、やはりそこはヒデキ感激の味。 現在も甘口、中辛あわせてシェア20%(各々1、2位)のお化け商品だけに、ハウスバーモントカレーはカレーを世界に広めた東インド会社もびっくりの定番アイテムなのだ。 たまに専門店の本格カレーが食べたくなり、カレーの聖地である神田をぶらぶらしたりするが、いくら専門店のカレーがおいしくても、バーモントカレーが食卓から消えることはない。 行列のできるラーメン店がカップヌードルに勝てないように、高度成長期にヒデキにすすめられた感激の味は、味覚のランドマークとして生涯離れられないものになっているのだ。 バーモントカレー好きが高じてハウス食品に提案に行ったことがある。「リンゴのかわりにバナナを入れるとコク味が出ますよ」と、データを揃えてプレゼンしたのだが反応は悪かった。 実際は、リンゴジュースを製造する際の搾りかすを使用しており、バナナそのものを使うとコストが合わないのだとか。 裏事情を教えてもらい、またまた感激した次第である。
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