872.キューちゃん(2018.6.4掲載)
ときどき「きゅうりのキューちゃん」が無性に食べたくなる。 とにかくしろめしとの相性が抜群だし、パリパリ食感もいい。もっといいのがネーミング。「きゅうりの醤油漬け」だと手が出にくいが、「キューちゃん」はかわいくて思わずご飯に載せたくなる。 1962年、きゅうりのキューちゃんは東海漬物の新商品として世に登場した。当時、漬物は店先の樽から小分けして販売するのが一般的で、1袋35円の個包装漬物は画期的だった。ぬか漬けが主流のきゅうりを醤油漬けにした発想も斬新だったし。 その後、時代に合わせて8回も減塩リニューアルを重ね、当初10%以上あった塩分が2007年には3.8%。常に漬物売場の主役を張る、私と同世代のロングラン商品となったのである。 ときどき無性に会いたくなる同世代のロングラン商品が、もう一つある。それは、藤子不二雄先生の「オバケのQ太郎」。 1964年2月28日に少年サンデーで連載が開始され(この日がQちゃんの誕生日)、1965年8月29日からTBS系でテレビ放映。主題歌の「オバケのQ太郎」は1966年のレコード大賞童謡賞を受賞し、「オバQ音頭」は200万枚を売り上げた。 恥ずかしながら、幼時、Qちゃんを愛していた私は、夜ごと「オバQ音頭」B面の「オバケのQ太郎」を聞いてから、Qちゃんのビニール製フィギアを抱いて眠りについていた。 キューちゃんもQちゃんも、ヒットした最大の要因は「きゅ〜」という切ない発音にあるような気がする。両者のネーミングには何の関係もないが、どちらも、なんだか切ない。切ないから食べたくなる。切ないから会いたくなる。 しかし、オバケのQ太郎というタイトルの由来は意外なところにあった。 藤子不二雄先生が小田急線でアニメスタジオに通勤していた時、小田急(オダキュー)→オバQ(オバキュー)と連想したらしい。 思い出の旅路は、新宿駅発なのである。
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