881.愛媛ワード(2018.8.06掲載)
最近、夜な夜な高知銘菓の「ミレービスケット」をつまんでいる。 砂糖、塩、油という人間の欲望をシンプルに味付けした小さなビスケット。シンプルだからこそやめられない、愛媛人をもとりこにする高知のソウルフードなんだ。 地域限定のロングセラー商品に幼い頃から親しんで育った場合、上京して初めてそれが故郷の味だったことに気づいたりする。 明治製菓の「麦茶ジャーミー(沖縄)」「おでん横丁(九州北部)」、サッポロ飲料の「リボンナポリン(北海道)」、日本ミルクコミュニティの「ソフトカツゲン(北海道)」。大手は製造していないが、奄美大島の「ミキ」も有名。 懐かしさのあまり帰省時にケース買い、という話をよく聞く。 さらに、食品以外に話を広げると、標準語だと思い込んでいた単語がローカル特有で、東京で通じない現象がけっこうある。 こういう赤面談をつなぎ合わせた結果、「この3つが全てわかったら愛媛県人間違いなし」という単語を見つけた。 「トリノコヨーシ」「ラーフル」「リゴウ」 この3つである。 まず、トリノコヨーシ(鳥の子洋紙)は白い大きな紙のことで、愛媛、香川、沖縄でしか通じない。標準語は模造紙。ちなみに、山形ではオーバンシ(大判紙)、長崎、熊本ではヒロヨーシ(広用紙)、新潟ではタイヨーシ(大用紙)、富山ではガンピ(雁皮)、岐阜、愛知ではビーシ(B紙)となる。 ラーフルは黒板消しのことで、愛媛、宮崎、鹿児島出身がばれる。ついでに、授業と授業の間の休み時間をホーカと言えば愛知出身、通学区域が校区や学区でなく校下(こうか)になると北陸、岐阜出身である。 そして、リゴウ(離合)はクルマとクルマが狭い道ですれ違うこと。愛媛、広島、山口と九州全域でのみ通じる。 先日も、とある飲食店の社員に試してみたところ全問正解でバリバリの愛媛県人だった。他県の大学に通っていた頃、3つとも通用せずショックだったらしい。 仕事頑張ってねと、ミレービスケットを進呈した猛暑日の夜であった。
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