899.小梅ちゃん(2018.12.17掲載)
小学校4年生の頃、県立博物館が主催する「自然科学教室」というフィールドワーク中心の勉強会に参加していた。 毎月バスに揺られて山中を駆け回り、動植物の観察や化石掘り。結構ハードな日帰り研修だった。 でこぼこ山道でバスに揺られても乗り物酔いはせず、ゲロ袋不要のタフガイだったのだが、おやつに当時新発売の「小梅」を食べるとなぜか必ずゲロってしまうという怪現象が発生したのだ。 小梅は昭和49年にロッテから発売されたロングセラー商品で、甘酸っぱい梅味のキャンデー。パッケージキャラの小梅ちゃんは明治生まれの15歳で、東京は小石川の出身。名門、綾小路家の一人息子「真」に淡い恋心を寄せているという設定らしい。 そんなことはどうでもいいが、どうして小梅でバスに酔ってしまったのか。 以前、NHKの「ためしてガッテン」で、乗り物酔いの原因調査を行った結果を発表していた。それによると、睡眠不足、空腹、読書、排気ガスやタバコの臭い、「酔う」と考えた、映画を見た、姿勢が悪かった、甘いジュースを飲んだ、コンピューターゲームをした、雨だった、という順。小梅はない。 また、東京厚生年金病院の石井正則部長は、乗り物酔いの経験がない20代の250人以上を対象に、乗り物酔いを起こす実験を行った。 その結果、3時間睡眠、空腹、読書、バスの8の字走行+急発進という条件が重なると、87.5%の人が乗り物酔いを起こしたという。ここにも小梅はない。 ちなみに、進行方向と逆向きに座ることと乗り物酔いとの間に因果関係はないらしい。 ならば小梅ちゃんの美貌に酔ったのかも、と思ったりもしたが、パッケージに小梅ちゃんが登場したのは昭和57年で新発売の8年後。 小梅ゲロ現象の原因は、いまだ謎のままである。 乗り物酔いは10代半ばでピークを迎え、その後は減少。40代で再び増加に転じるらしい。 再び小梅に注意なのである。
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