920.大河ドラマと就職試験(2019.5.20掲載)
おもしろくない、役者がイマイチ、走っているだけでストーリーがない、などと画面にぶつぶつ文句を言いながら見続けている。 大河ドラマ「いだてん」。 ビートたけしの滑舌の悪さやピエール瀧の素行の悪さも災いし、最近の視聴率は8〜9%あたりをふらふら。 同じように単調なストーリーが酷評され、それまでの歴代最低クラスの視聴率と揶揄されていた2003年の「武蔵」が懐かしい(市川新之助主演)。16.7%もあったんだ。 つまらなくても大河ドラマを見続けてしまうのはなぜか。 以前母親が、「NHK朝の連続テレビ小説は、内容はどうあれ毎日見るのが主婦の仕事だ」と言っていた。ならば大河ドラマをやめられないのは、オヤジのさがとでも言うべきか。 いや、大河ドラマに吸い寄せられるのは、ディテールに抜かりがないからではないか。 完璧な時代考証に裏付けされた衣食住と、それを忠実に再現するセットは、月曜日を前にしたブルーなオヤジを時間旅行へといざなってくれる。電線が映ったり、由美かおるが「ヤッホー」と叫んじゃったりする水戸黄門ではこうはいかない。なにせ製作費が1本6000万円もあるんだから。 ところで、完璧に見えるNHKの時代考証も、歴史マニアに言わせると実際はいくつか間違っている箇所があるらしい。一事が万事。少しでも変なシーンがあると興ざめしてしまい、全体の価値を下げる。歴史ドラマの怖いところである。 同じようなことを、学生時代にバイト先の結婚式場で言われたことがある。 「お客様に料理を出す時、皿の向きは1センチでもずれちゃいけない。たかが皿の向きだが一事が万事。お客様はそれで全てを判断する」 ちょっとでもお皿が斜めになっていたり、箸の置き方がずれていたりしただけで店の格は地に落ちる。 バイト学生にはピンと来ないお説教だが、就職活動ではピンと来てもらわなければ困る。入社面接試験は一事が万事の典型。たかだか30分の所作で全人格を判断されてしまうのだ。 大河ドラマと就職試験、一事が万事で要注意。
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