926.食の日本史探訪(2019.7.1掲載)
歴史でメシは食えない。 高校時代の恩師に言われた言葉に従い理系に進んだが、とにかく学生時代は日本史が大好きだった。旺文社模試の5教科平均が校内430位の時、日本史だけは全国32位だった。 たしかに仕事上日本史はあまり役に立たず、せいぜい大河ドラマを見ながらうんちくをたれる程度。なんとか生かせる場面はないものかということで、本稿、食の日本史探訪となったのである。 539年、こんにゃく伝来。仏教伝来は538年、百済の聖明王が欽明天皇に仏像を贈ったということだから、ついでにこんにゃくも同梱したに違いない。職場の中国人曰く、「なぜか中国にこんにゃくは伝来せず、最近になってやっと広まってきた。こんにゃくを意味する単語『魔芋』が辞書に載ったのもついこの間」。魔法の芋は朝鮮半島が発祥なのだ。 600年、箸伝来。これは、607年に聖徳太子が始めた遣隋使の影響が大きい。それまで日本の食事スタイルは手づかみだったが、隋の使者に文化水準の低さを笑われることを恐れた聖徳太子は、遣隋使の運用開始を前に箸の使用を奨励したのだ。しかし、実際はかなりぎこちなく、一夜漬けバレバレだったとか。 676年、天武天皇が肉食を禁じる。672年の壬申の乱で天智天皇の息子である大友皇子に勝利した天武天皇は、日本の食文化を大きく左右することになる肉食禁止令を出す。以来、明治維新までの1200年間、米が日本人を支えた。 1891年、足折れ式ちゃぶ台特許取得。ちゃぶ台も日本の食文化を変えたアイテム。家長から順に並んで食べるそれまでの箱膳スタイルから、一家団らんのちゃぶ台食卓へ。ちゃぶ台は、まさに民主主義のシンボルだった。 ちゃぶ台ごときが特許になるのか。日本の特許制度がスタートしたのはアメリカに100年遅れて1885年。黎明期の特許申請は日用品がほとんどだったらしく、足折れ技術にも特許価値が十分あったのだ。 ちなみに同じ1891年、アメリカではエジソンがラジオの特許を取得している。さすがにアメリカはすごい。 こんな感じでマニアな日本史を紹介してみた。やはりメシは食えそうにない。
\\\\
|
column menu
|