940.パンの出自(2019.10.14掲載)
毎朝5時に朝食を取る。当然、味噌汁なんて出てこないから、休日に購入したパンを食べるのが秘かな愉しみである。 日本は、世界中のパンが気軽に味わえるパン天国。 あまりに気軽すぎて、本来どこの国が起源なのかわからなくなっている。そこで、メジャーどころのパンの出自を整理してみた。 クロワッサン、ブリオッシュ(フランス)…バターや卵をたっぷり使う高カロリーコンビ。小麦粉、塩、水、酵母のみのフランスパンを食事系とすれば、この2つはデザート系。 スコーン(イギリス)…発酵せず、ベーキングパウダーだけで膨らませる。イギリスの食事はまずいというが、スコーンもいまいち。 プレッツェル(ドイツ)…グリコのプリッツのルーツ。カリカリの皮がおいしいが、固いので注意。2002年1月、NFL観戦中のブッシュ大統領がプレッツェルを喉に詰まらせた。 ポン・デ・ケイジョ(ブラジル)…ミスタードーナツのポン・デ・リングのルーツ。表面は固く中はモチモチ。本家はキャッサバ粉(タピオカ澱粉)を使うらしい。 フォカッチャ(イタリア)…ピザ生地みたいな平たいパン。オリーブオイルをつけて食べるという行為は、田舎者には全く無理な概念だった。 マントウ(中国)…諸葛孔明が考案したとされる饅頭のルーツ。中国は、黄河と揚子江の中間あたりに線を引くと、北が小麦文化圏で南が米文化圏。小麦はエネルギー効率がいいのか、北方中国人は体格がいい。 給食のパン(GHQ)…戦後食糧難の救援物資という大義名分を立てたアメリカの小麦販売戦略。この施策にはまったからこそ今のパン天国がある。それにしてもスケールの大きい販促だな。 今から45年前、小学校の給食当番。渡り廊下につまずいてひっくり返したパンの木箱から個包装されていない給食のパンが中庭にあふれた。 「皮をむいて食べてください」 本当に皮をむいて食べてもらった。今なら教育委員会と保健所とPTAが気絶するだろうな。 自身の出自ともちょっと重なる、パンの思い出である。
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