942.わっしょい(2019.10.28掲載)
我がふるさとの秋祭りが終わった。 神輿どうしをぶつけ合う「けんか神輿」が売りの松山まつり、人のけんかが絶えないダーティーさが災いし、なかなか全国区になれない。「和一緒」というわっしょいの語源通り、おらが町が一体となるいいお祭りなのに…。 ところで、お祭り前後の高揚感と虚脱感を見事に盛り込んだ歌を、かぐや姫と吉田拓郎が同じ昭和47年にそれぞれリリースしている(以下一部抜粋)。 「ひとりきり(2番)」byかぐや姫 太鼓が響き 御輿がくり出し いよいよ待ちに待ったお祭りだ 親戚が集まり 酒を飲んで 今年は豊年だ 「祭りのあと」by吉田拓郎 祭りのあとの淋しさが いやでもやってくるのなら 祭りのあとの淋しさは たとえば女でまぎらわし もう帰ろう もう帰ってしまおう 寝静まった街を抜けて どちらも心に染みるいい歌だ。 元来秋祭りは収穫を感謝し、稲作の労をねぎらうためのものであるが、世界に目を向けると感謝したりねぎらったりするだけでは間に合わないほど食糧事情が逼迫している。 そんな昨今、理化学研究所が「コシヒカリ」の収穫量を20%UPさせる品種改良に成功した。 味は申し分ないが草丈が高く実るコメの粒数が少ない「コシヒカリ」と、草丈が低く実る粒数は多いがおいしくない「ハバタキ」という品種を掛け合わせたのだ。品種名を「イイトコドリ」としたいくらいの成功例である。 イネ研究者の努力が実を結び、世界の食糧危機が解決する日が来ることを願う。そしてその時、研究者たちは神に感謝し、労をねぎらうのである。 わっしょい秋祭りのように、はしゃぐのである。
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