945.ヤンキーチッパー(2019.11.18掲載)
塩味39%、コンソメ味16%、のり塩味11%…。 現在市販されているポテトチップスのフレーバー別シェアベスト3である。 マヨネーズ味、お好み焼き味、キムチ味など、もっとバラエティーに富んだ分布かと思っていたが、これらの新ネタフレーバーは短命で、せいぜい3ヶ月前後で改廃。結局は無難な塩味系に収束するらしい。 この情報をくれたのは、ポテトチップスメーカーに勤務する知人だが、「フレーバーの開発は全て香料メーカーに外注し、普段はジャガイモの研究ばかりしている」と語っていた。高収率で長期貯蔵に強く、ポテトチップス製造歩留りの高い品種を追い求める日々なのだとか。 ところで、ポテトチップス用のジャガイモで最も有名な品種は、1976年に開発された「トヨシロ」。現行スタイルのポテトチップスが登場したのが1975年だから、同じ歴史を歩んできたことになる。 以後、製造テストにかけた品種名を挙げると、「ヤンキーチッパー」「アトランチック」「シェポディー」「ドクタージョハンセン」。なんだか楽しそう。 どうせなら全部塩味にして、ジャガイモの品種で差別化してはどうか。「ポテトチップスドクタージョハンセン仕様、新発売!」なんてオシャレではないか。 土にまみれてジャガイモ研究に明け暮れる知人に、入社動機をたずねてみた。 「小学校時代、仮面ライダースナックを食べまくっていて、この会社に親近感があったから」 もちろん、お目当てはオマケの仮面ライダーカード。今では数万円の値が付く1番カード「怪奇くも男」を手に、少年は仮面ライダースナックを食べまくった。ポテトチップス登場4年前のことである。 その後、高校でグレて暴走族に身を落としたが、優しい母親が仮面ライダーカードを大切に保管していたことに涙し、改心。入社後、当時を回想して「ヤンキーチッパー」で新商品開発…なんてアナザーストーリーはどうだろうか。 思い出に寄り添うスナック菓子の開発。ヤンキーの黒歴史も無駄ではなかったのである。
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