953.花婿の嘘(2020.1.20掲載)
最近、職場や友人の婚礼が立て続けに3件あり、その都度、花嫁の父の胸中を察して目頭が熱くなった。 花嫁の父はどの段階で結婚を許したのだろう。花婿の誠実さをどうやって品定めしたのだろう。 お見合いの席で食事をするのは、ものを食べる時の所作に「育ち」が表れるから。ならば、花嫁の父はいじけて花婿に背を向けるのではなく、早い段階で酒席に誘うべきではないか。 そんなことに思いを巡らせていた三が日、県警に勤める従兄弟と「職務質問時の『嘘』をどこで見抜くか」という議論になった。犯罪心理学がどこまで当てはまるかわからないが、花婿と対峙した時に使えるに違いない。 嘘は、言葉と体と顔に出る。 言葉の嘘。職質で嘘をつく時、言葉が出るまでの間が長くなる。「何してるんですか」「…ちょっと、コンビニまで」。たぶんコンビニではない。また、聞いてもない情報を早口で次々語りだすのも嘘をごまかす時のサイン。 体の嘘。手の指先を頻繁に組み替える。着座の場合だと足先をバタバタと小さく揺する。自分の髪や鼻、あごの先を何度も触る。「適応動作(アダプターズ)」と呼ばれるこれらの行動を伴う発言には、嘘が混じっている。 顔の嘘。顔の上半分が無表情で、下半分のみ笑っている。まばたきの回数が多い(通常は1分間に38回前後)。舌で上唇をなめたり、上下の唇をかみ締めたりする。これらのサインも要注意。「目も口元も物を言う」のだ。 職務質問において該当者は素人で警官はプロ、よほどのことがない限り逆らうと不利であり、素直に答えるのが得策。 これって、花婿と花嫁の父の関係に似てるな。花嫁宅では「幸せにします」としか言いようがないのだから。 女性が記念日にこだわるのは、男性の記憶力を評価し、それを誠実さの目安にしているからだという。 ならば、父も婿殿に記念日を職務質問してみよう。 言葉と体と顔を確認しながら。
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