957.豚肉イケメン譚(2020.2.17掲載)
この頃、東京に行くたびに思うことがある。 「東京の若者は背が高くて足が長い」 実際、東京都の17歳男子の平均身長は171.1cm。 対して愛媛県は169.6cm(全国平均は170.6cm)。 う〜ん、やはりそうか。渋谷なんかの雑踏では180cmくらいないと見つけられないから、「待ち合わせに強い男子」なんて自然淘汰が働いたんじゃないか。 足の長さもそうだ。データはないが、東京人はカッコよく見えるからきっと長いに違いない。 足が長いと相対的に上半身が短くなり、内臓部分の比率が下がる。内臓が収まる容積が少ないと、寄生虫や病原菌感染のリスクが減り、生命力が増す。だから、ヒトは本能的に足の長い相手に惹かれる。 こんな感じで自身の体型に落ち込んでると、考古学者の西本豊弘先生の身長に関するおもしろい研究にたどり着いた。 「弥生人は豚肉摂取で身長が伸びた」 各時代の男性の平均身長は、縄文時代160cm、弥生時代163cm、鎌倉時代159cm、室町時代157cm、江戸時代155cm、明治時代155cm。たしかに弥生人の身長が高い。 これは、弥生時代になって稲作とともに豚が大陸からやってきて、良質の動物性タンパク質を豊富に摂取できるようになったからだとか。これまで野生のイノシシだと思われていた弥生遺跡の頭骨が、西本先生の鑑定で豚と識別されたのだ。 弥生時代に豚は家畜化されていたのである。 ところが、奈良時代に仏教が広まり、殺生が戒められて豚を食べなくなった。以後、豚は野でイノシシとなり、日本人の身長は1200年間低いまま。 そして、現代。豚肉が復活してやっと弥生人の身長を追い越した。特に、東京は豚肉文化圏だから身長の伸びが激しかったのかな。 東京人と弥生人。豚肉がつなぐイケメンパラダイス。 雑踏に埋もれない180cmを目指し、185cmの大将が営む焼き鳥繁盛店の激ウマ豚バラをつまむ今日この頃である。
\\\\
|
column menu
|