958.4年に1度(2020.3.2掲載)
わが母校は、「県立パラダイス学園」という二つ名を持つお気楽高校。 もっとコツコツ勉強しとけば社会に出ていろいろ楽しいことを享受できたのに、その日暮らしのキリギリス体質ゆえ後々苦労するし、傑物も出ない。 その分、4年に1度、五輪の年に開催されるクラス会トークの話題には事欠かない。もはや古典となったネタを、ダイジェスト版で3本紹介する。 「ワイン工場」 高2の夏、修学旅行で長野のワイン工場を見学することになった。社会科学習を行程に取り入れる我が校初の試みだった。その工場は、常時見学者を受け入れていて、売店も完備。おみやげ用のワインが飛ぶように売れた。もちろん、全てその日の夜に消費されるのだが。 ワイン工場長曰く、「貴校の自由な校風に感銘を受けました。これまで数多くの学校を受け入れてきましたが、おみやげにワインの購入を許可されたのは貴校が初めてです」。 翌年から見学場所がケチャップ工場に変わった。 「フェルマータ」 高1の春、音楽の授業で音符を勉強する歌を歌っていた。「のば〜すしるしはフェルマータ〜」の部分で、「おまえはフェルマータをのばしすぎだ」と友人が音楽教師の跳び蹴りを喰らった。吹っ飛んだ後もボコボコに殴られ、教科書が血に染まった。 帰宅後、カボチャのように変形してしまった友人の顔をカボチャ農家の父親が見て、学校に殴り込んだ。「フェルマータは、のばすしるしですけん」と。 「飲んでません」 高3の秋、繁華街の居酒屋で運動会の打ち上げをした後、2次会会場である友人宅へ数名で移動中に警官の職務質問を受けた。泥酔の友人を後ろに隠したが、匿う我々を押しのけて警官の前に出てきてしまった。 「ぼくぁねぇ、ぜ〜んぜん飲んでないですょお。おぉぇ〜」。見事なゲロを吐いた。「現行犯〜っ!」。警官はゲロを指さして雄叫びを上げた。 こんな騒動があった後も、教師も生徒も欠員なく日々を謳歌できたのだから、やっぱりパラダイス学園だ。 そんな記憶の棚卸しをする、4年に1度の祭典がやってくる。
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