961.タニマチ文化(2020.3.16掲載)
広告代理店に勤める知人に誘われ、STU48のライブを見学した。秋元康さんプロデュースの瀬戸内アイドルである。 この手のライブは初体験であり、アイドル文化やオタクの熱量を体感してみようという好奇心満載の企画だった。 完璧な振り付けのファンに驚きつつ、アイドルの歌とトークを遠目に見ていたのだが、感心したのは15分に1回くらい挿入される写真撮影タイム。スタッフがやってきて、アイドルだけの写真や、アイドルの背景にファンが映り込むアングルなんかも織り交ぜてパシャパシャ撮影。 そして、これらの写真をプリントして1枚500円でロビーにて販売。帰路のファンが大量買いするという仕組みが出来上がっているのだ。 そんなに買ってどうするのと心配しつつ、まぁ写真が欲しいのではなく、購入することでアイドルをサポートしているわけだから仕方ないかと。 思い起こせば、自身も似たようなことを東京ドームの巨人戦でやっていたのだから。 昨夏、今やアイドルと化したビールガールから、勧められるままに1杯800円の生ビールを8杯も買ってしまっていた。飲みきれないからそのまま足元に並べて…。 二軍戦だったから入場料3000円、ビール代6400円。アイドルオタクを笑えない。 こんな風に見返りを求めず支援するタニマチ文化が日本にはある。育成ゲーム「たまごっち」が流行ったのも、根底にタニマチ精神があるからではないか。ちなみに、タニマチの発祥は大相撲。明治時代に大阪の谷町の医師、がある力士の面倒を見たことに由来する。 現代では、歌舞伎役者や噺家のサポーターもタニマチと呼んでいるし、東京ドームの二軍戦なんかも、経済的な支援こそしないが前年の甲子園球児に親心的なタニマチ声援を送っている。ただ、関取や歌舞伎役者のタニマチはハンパな財力では務まらない。 STUもビールガールも大した出費ではないが、仕組まれたビジネスモデルだと考えるとちょっと悔しくなる今日この頃である。
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