967.ナッツダイエット(2020.4.27掲載)
スーパーでちらほらスイカを見かけるようになった。 家に縁側でもあれば、種を飛ばしながらスイカにかぶりつき、巣ごもり消費をエンジョイするところなのだが…。 幼時、「スイカの種を食べると腹から芽が出る」とよく脅された。 実際、動物の消化管を通過した植物種子のほとんどが発芽する能力を維持しており、腹から芽は出ないにしても「消化が悪いから種は出しなさい」という親心は間違っていない。 種の立場からすると、子孫繁栄のために必死で動物の消化酵素に抗っているわけで、そうやすやすとエネルギー源になってはくれない。 米国農務省のノボトニー博士らは、この攻防に研究のヒントを得た。進化によって消化されにくい構造になったナッツや種子は、他の食品と同じようなカロリー計算が当てはまらないのではないかと。 一般的な食品のカロリーは、タンパク質×4、炭水化物×4、脂肪×9の合計値で導かれる。 例えば、シンプルなのに高カロリーなミスタードーナツのオールドファッションは、タンパク質3.4g×4=13.6、炭水化物29.9g×4=119.6、脂肪20.1g×9=180.9の合計で、計算上は1個314kcalとなる。 ノボトニー博士は、アーモンドの消化実験で、この計算が当てはまらないことを証明した。 被験者にさまざまな量のアーモンドを食べてもらい、それ以外の食事は完全に同じにして消化吸収されずに便と尿に出てきたカロリーを計測し、アーモンドのカロリーを推測したところ、アーモンド1食分が129kcalとなり、計算上の170kcalを大きく下回ったのだ。 やはり種子系食品は消化を免れている。 今夜から家飲みのお供はナッツにしよう。デザートはスイカで。 飽食の今日、スイカの種を食べるという選択肢もあると思うのである。
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