970.巣ごもり炭水化物(2020.5.18掲載)
コロナ禍による外出自粛で、コメ、乾麺、粉ものがスーパーの棚から消えるほど売れている。巣ごもり内食特需。 すべて炭水化物だが、原因はストレスと保存性にある。 以前、日本栄養士学会が震災や水害の災害避難所の食事を調査した時も、食事の中心は炭水化物であり、タンバク質不足が問題になっていた。 まずストレス。イスラエルのホーレナ博士によるクモとバッタを使った実験で、ストレスのせいで炭水化物に走ってしまう嗜好性が証明された。 簡単だが、工夫を凝らした実験がすごい。 口を接着剤で貼り合わせ、捕食できないようにしたクモをバッタのいる野外のケージに入れ、バッタにストレスをかける。この状態で飼育を続け、最終的にバッタが死んだ後、死骸を土に入れて生分解させる。 この土に藁を加えて分解速度を調べたところ、ストレスのないバッタを入れた土の半分しか藁が分解されなかった。 つまり、バッタがクモに睨まれてストレスを受けるとエネルギー必要量が増え、タンパク質より炭水化物を多く食べるようになる。結果、体内の窒素分が減少し、生分解後の土壌窒素分も減少。土壌微生物の代謝に影響を与えたということになる。 客人に気を遣った宴席の後、太るとわかっていても深夜のラーメンに走ってしまう謎が解けたぞ。 ついでに言えば、バッタがモデルの「初代仮面ライダー(1971年)」。第1話の悪役が一見弱そうな「クモ男」になったのもストレスを感じる身近な天敵だったからではないだろうか。 そして、保存性の問題。コメも乾麺も粉ものも常温放置で問題ないが、タンパク質を取ろうとすれば、肉にせよ魚にせよ冷蔵保存が前提となる。 ならば豆とかつお節。どちらも良質なタンパク質を多く含み、1年放置しても大丈夫。 炭水化物にせよタンパク質にせよ、これまで生鮮食品に押され気味だった乾物が脚光を浴びる巣ごもり消費なのである。
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