978.育毛のススメ(2020.7.13掲載)
幼時、「ひじきを食べると髪の毛が黒くなる」と母に言われたことがあるが、科学的根拠はどうなんだろう。 以前、日本薬学会でライオン株式会社が「オキナワモズクの抽出物を頭皮に塗ると発毛効果がある」と発表したことがあったから、海藻と育毛には密接な関係があるに違いない。 この機会に、育毛に関する俗説を検証してみた。 毛穴に脂がたまると毛が抜けやすい…× 髪の毛が作られるのは頭皮から7〜8ミリ奥で、シャンプーは届かない。だから洗髪が週1回程度だった昭和30年代も、朝シャンまでしてしまう現代人も、抜け毛の程度に変わりはない。 欧米人には薄毛が多い…○ 男性型脱毛症の発症率は日本人で3人に1人だが、欧米人だと2人に1人と高い。ちなみに中国人は5人に1人。 エロい人は毛が薄い…△ この俗説を統計で証明しようとした人がいたが、有意差があったのは「薄毛の人には胃ガンが少ない」という意味不明な因果関係のみ。ただ、エロの核心が男性ホルモンだとしたら、エロと薄毛の関係は無視できない。男性型脱毛症の原因は、男性ホルモンなのだから。 プロペシア…○ その男性ホルモンの働きを阻害し、脱毛を阻止する内服薬が「プロペシア」。臨床試験では服用1年後に58%、2年後に68%、3年後には78%の患者に脱毛の改善が見られた。医師の処方箋が必要ではあるが、史上最強の毛生え薬かもしれない。 髪には生命や力が宿る…○ 神から怪力を授かったヘブライ人のサムソンが、その力を使ってイスラエルを支配するペリシテ人と戦っていた。しかし、ペリシテ人のデリラという娘に恋をしたため、怪力の秘密がその長い髪にあることを探り出され、髪を剃られて力を奪われてしまうのだ。 ヤンキーも、停学のペナルティで坊主頭になると一時的にパワーが落ちる。 剃髪は旧約聖書に端を発する懲罰なのである。
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