995.魚肉ソーセージ(2020.11.16掲載)
1950年、愛媛県八幡浜市の西南開発株式会社が日本で初めて魚肉ソーセージを商品化して、今年で70年である。 あのオレンジ色のセロファンとピンク色のボディーが忘れられないという人も多いと思う。 戦後の動物性タンパク質不足を補うため、「スモークミート」という商品名で世に出た魚肉ソーセージは、1954年の「第5福竜丸」被ばく事件の風評被害で鮮魚消費が落ち込んだマグロの利用策として一気に生産が拡大した。 ところがその後、使用していた添加物の発ガン性問題で消費が激減。小学生だった当時、売れなくなった魚肉ソーセージを動物園の白クマに与えるシーンをニュースで見て、「白クマさんはガンになってもいいのか」と思ったことを覚えている。 それにしても時代にもまれる商品だ。1954年の生産量が4千トン。福竜丸事件で1956年には2万6千トン。高度経済成長期の1972年に18万トンでピークとなり、発がん性問題で1974年には12万5千トンまで落ち込んだ。 その後も減少して近年は5万トン台を推移しているが、根強いファンは多い。 発売70周年。いろいろ苦労した魚肉ソーセージの労をねぎらい、日本三大珍味の仲間に入れてあげるってのはどうか。 日本三大珍味は、うに、からすみ(ボラ卵巣の塩漬けを干したもの)、このわた(なまこの内臓の塩辛)。世界三大珍味のフォアグラ、トリュフ、キャビアと違い、全て海産物だから魚肉ソーセージにも資格はあるし、激しい浮き沈みを経験したという意味では十分に珍味である。 魚で肉の代用をしたという世界に誇る日本の食品加工技術。 日本四大珍味としての登録を願うのである。
\\\\
|
column menu
|